「実は、前の美容室でしみたことがあって…」
初めて来てくれたお客様が、
カウンセリングの終わり際に、少し声を落としてそう話してくれました。
言い方も控えめで、
責める感じもなくて、
ただ事実を確認するみたいなトーン。
でも、その一言には
「またああなったらどうしよう」
という不安がはっきり滲んでいました。
詳しく聞くと、
しみたのは一度だけじゃなかったそうです。
毎回じゃない。
我慢できないほどでもない。
「最初は、ちょっとピリッとするな、くらいでした」
時間が経てば落ち着くし、
流した後も普通。
だから
「白髪染めって、こんなものなのかな」
と思っていたそうです。
特別なトラブルがあったわけじゃない。
ここ、すごく大事なところだと思っています。
しみた時、
美容師さんには一応伝えたそうです。
「少しピリピリします」
でも返ってきたのは
「そうですか、少し我慢してくださいね」
という反応。
強く止められたわけでもない。
雑に扱われた感じもしない。
だから
「私が神経質なのかな」
そう思って、それ以上は言わなかったそうです。
その方が一番怖かったと言っていたのは、
刺激そのものよりも
「だんだん、気にしなくなっていったこと」
最初は気になっていたピリピリも、
回数を重ねるうちに
「まあ、いつものこと」
になっていく。
それって、実はよくある話です。
白髪染めがしみる
↓
毎回じゃない
↓
我慢できる
↓
言わなくなる
この流れ、珍しくありません。
ある時、
いつもと同じようにカラーをした日。
塗ってすぐ
「今日は、ちょっと強いかも」
と感じたそうです。
でも
「途中で止めるほどじゃないし」
と思って、そのまま続けた。
結果、
流した後もヒリヒリが残り、
夜になっても落ち着かなかった。
赤みも出て、
「これ、次も大丈夫かな」
と初めて怖くなったそうです。
数日後、念のため皮膚科に行った時に言われたのが
「アレルギー反応の可能性もありますね」
断定ではありません。
検査をしたわけでもない。
でも
「可能性」という言葉だけで、
一気に現実味が出たそうです。
「もし次、もっと強く出たら?」
「もう染められなくなったら?」
そこから
白髪染め自体が怖くなってしまった。
これは、私も現場で何度も聞いてきました。
アレルギーって
最初から強く出る人ばかりじゃありません。
・ちょっとしみる
・少しかゆい
・赤くなるけど数日で引く
そういう軽い反応を
何度も繰り返したあとに
急に出ることもある。
だから
「前は大丈夫だった」
は、正直あまり当てにならないんですよね。
そのお客様も
「私、もともと弱いんだと思います」
と言っていました。
でも話を聞くと
体調が悪い日
寝不足の時
季節の変わり目
そういうタイミングと
しみた時期が重なっていることが多かった。
体質だけじゃなく
その日の状態や
やり方の影響も、確実にある。
私はそう感じています。
一番もったいないのは、
我慢を続けた結果
「白髪染め=怖いもの」
になってしまうこと。
そうなると
相談する気力もなくなって
「もう染めなくていいかな」
「でも白髪は気になるし…」
ずっとモヤモヤを抱えることになる。
本当は
やり方を変える
止めるタイミングを作る
負担を減らす
そういう選択もあったかもしれないのに。
そのお客様が最後に言っていた言葉があります。
「しみたら、ちゃんと止めていいって
誰かに言ってほしかったです」
この一言、すごく響きました。
白髪染めは
耐える前提でやるものじゃない。
少しでも
「おかしいな」
「今日は違うな」
そう感じたら、止めていい。
それだけで
アレルギーのリスクも
怖さも
ずいぶん変わります。
白髪染めがしみた経験がある人ほど、
無意識に我慢しがちです。
でも
我慢が続くほど
怖さは増えていく。
逆に
「我慢しなくていい」
と分かると、
白髪染めとの距離感は変わります。
過去に
他店でしみたことがあっても
「もう無理だ」と決めなくていい。
白髪染めは
我慢するものじゃない。
黙って受けるものでもない。
美容師がこだわったカラー剤なら、もう我慢はさせません。








